フリーランスは一見すると、サラリーマンのように時間に縛られなくて自由なように思えます。しかしその実、クライアントとの打ち合わせや仕事を獲得するための営業など、スケジュール管理が甘いと立ち行かなくなる恐れもあるのです。もちろん仕事を受注してから完成に至るまでの、各工程にかかる時間などはある程度予測出来るでしょうが、それ以外に突発的な事態にも柔軟に対処しなければならないため、時間がいくらあっても足りなくて、常に時間に追われているという事態に陥る危険性があるのです。
まずスケジュールを作成するために、十分な時間を掛けて検討することが大切です。1ヶ月の稼働日数に1日の稼働時間を掛け合わせれば、1ヶ月の実働時間が割り出せます。月平均で希望する収入額をその実働時間で割れば、希望する時間単価が算出できます。ここで、比較のために同業者が同じような業務内容でどの程度の報酬を受け取っているのか、というリサーチも大切です。しかし安売り競争に巻き込まれれば、仕事をすればするほど赤字になってしまい、得るところはありません。
自分自身で妥当と考える時間単価が設定出来れば、それ以下での仕事は基本的に受託しないという方針を立てます。もちろん単価が安くてもやりたい仕事や、やっておく価値のある仕事は受託すればよいのです。
スケジュールを埋める際には、大きなものから埋めて行くのが基本です。常にゆとりを持って、空白時間を意識的に作るようにします。これは不測の事態にも十分に対応出来るための大切な準備です。自分の代わりは誰もいないということを肝に銘じて、自分自身の身体面と精神面の健康を維持し、メリハリをつけてリフレッシュするための時間を確保しておくことです。また目の前の仕事には、直接関係しなくても自分自身への先行投資として勉強や研究を怠ってはなりませんし、情報交換の場に顔を出すのも億劫がっていてはいけません。
こうして出来上がったスケジュールを元に、ある程度の期間を埋めてみて修正する機会を設けましょう。最初は慣れなくて時間のかかっていたことも、少し経てば効率が上がります。また受注する仕事についても、定期的に付き合うことが出来るようなクライアントと、単発的なクライアントといった具合に、1箇所に集中しない方がリスクを分散することが出来ます。
独占的に取引するのは固定収入が生まれるので生活が安定し、誠に結構なことである反面、そのクライアントと突然切れてしまうと忽ち収入の道が閉ざされてしまうというリスクがあるのです。そのため日頃から新規顧客獲得のための営業も、絶やさないようにすることが大切なのです。
例えば並行して走る電車の一方に乗っていると、もう一方の電車が同じスピードで走っている場合には、お互いに動いていないかのような錯覚に陥ります。しかし一方が止まっていれば、明らかに止まっている方は遥か後方に引き離されてしまいます。これはビジネスの世界でも同様であり、周りが止まっているように見えて、実はお互いに猛スピードで動いているということがあり得ます。そのような環境下では、見た目に騙されて動かないことは、最大のリスクにもなるのです。「待てば海路の日和あり」とは、何もしないで待っていることではなく、やるべきことをすべてやり切った上でのお話です。
日本において高度経済成長の幸福な時代を支えた終身雇用制が、バブル景気の崩壊を機に崩れ始め、これまでの安定したサラリーマン生活というものが、もはや望めなくなりました。それは一面では長く続いた安定に慣れ過ぎて、自ら挑戦することを忘れた結果と見ることも出来るでしょう。少なくともこれから先は、現状維持が後退を意味することは明らかであり、フリーランスに限らず日々挑戦を積み重ねることで確実に前進することが大切です。しかし肩肘を張って特別に大きな目標を掲げる必要はなく、これまでやろうとしなかったことに向き合って、日常の中で小さな変化を起こし続ければよいのです。
人と人とが会話をして分かり合うことを妨げるものとして、人が言葉から様々な異なるものをイメージするという点が挙げられます。つまりよくよく注意しておかなければ、人は話し手の言葉から勝手な内容を想像してしまい、全く異なるストーリーを頭の中で描いてしまうのです。そこで人に話を分かりやすく伝えるためには、簡潔に短くまとめて、常に相手が本当に理解しているのかどうかを確認する必要があるのです。そして人に話をするに先立って、まず頭の中だけではなくメモに書くなどして、話の要点を明確にしておくという準備が大切です。